雨の土曜日が続いている東京です。
久しぶりに晴れ上がった朝を迎えた日曜日。
窓からみえる春霞やツバキ咲く街角に、待望久しい「春」を感じます。
吾妻橋から見る東京スカイツリーとアサヒビール本社、炎のオブジェ
現代科学、匠の技と情熱が満ち溢れる
平成の巨大プロジェクトを仰ぎ見ながら、
何気ないひととき、光景を写真で切り取る。
今週のお題=「私の宝物」という視点で考えると
宝物はそうした時間の集積そのものではないかと思います。
さて今回のメインテーマは時代をぐぐっと遡り、
平安時代に名歌で綴られた「ある男」の物語、
伊勢物語ゆかりの地を歩く散歩コースをご紹介します。
「むかし、男ありけり」ではじまる物語、
伊勢物語の主人公、モデルと言われている六歌仙の一人、在原業平。
そして在原業平の名歌、古今和歌集にも収録されている
名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思う人はありやなしやと
この和歌に詠まれたゆかりの地を歩きます。
現在に伝わる125段のエピソード、物語の素材からなる伊勢物語、
その第九段「東下り」で詠まれた和歌です。
現在地名、橋、校名などに残る言問、業平という名前も
この東下りの段で読まれた和歌がその由緒です。
後世さまざまな編集を経て、現在の姿になった伊勢物語。
どこまでが史実で、どこからが伝承で、どこからがフィクションか?
さまざまな憶測、推論、考証がなされてきています。
長く国文学の世界を賑わせてきた伊勢物語の著者や成立の議論はさておき、
懸想、相聞、今風にいえば「愛」のさまざまなカタチがとても魅力的で、
繊細なこころの遍歴がいきいきと描かれています。
深い愛情表現にあふれたこの歌物語は
父方からみると平城天皇の孫であり、
母方は桓武天皇の曾孫という貴公子、在原業平をモデルにして
当時の情況を物語の素材に重ね合わせることで
さらに魅力を増すものになったいえるでしょう。
体は大きく、容姿端麗、平安初期に出世に必要とされた漢学には見向きもせず、
恋い慕うこころに素直に生き、和歌の名手として生きた在原業平。
物語の主人公が政治的スキャンダルによって東国へ失意のうちに流浪のたびへ出て、
隅田川に着いた、そのあたりが有名な「東下り」に描かれています。
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いずれも活字が大きく、読みやすさの工夫も現代的で、
理解の助けとなる解説が光る素晴らしい本に仕上がっています。
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伊勢物語―業平の心の遍歴を描いた歌物語 (ビジュアル版 日本の古典に親しむ12)
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在原業平がこの名歌を詠んだ渡し舟の場所は現在の白鬚橋あたりにあった橋場の渡しです。
業平一行が見たのはこんな夕闇迫る隅田川の水面だったであろうかと
イメージしながら撮影してみました。
さきほどの名歌が刻まれた在原業平の歌碑もある
荒川区内最古の神社「石浜神社」をご紹介します。