夫婦写真散歩のススメ

歩く速さで、街の新陳代謝や季節の移り変わりをゆっくり、丁寧に味わってみましょう。

ボクが書店オーナーだったなら、いますぐこうする(第一話)。

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noir5552010-03-20



知り合いの書店オーナーが

三代50年近く続いた

街の書店を閉めた。


街の「文化」を支える拠点を潰すことの無念さと

傷が浅いうちに諦めた己の不甲斐なさを嘆き、

酔って泣きつかれ、朝まで痛飲に付き合う。


曰く……、

「書店の敵は売れない本を粗製乱造する出版社でも(責任が全くないとはいわないが)

 コンビニでもamazonamazonは出版業界の救世主じゃないか!)でも

 無料のインターネットでも、ブックオフ(古本屋)でも、図書館でもない」という。


「まあ、影響はまったくなかったわけじゃないけど…、主因じゃないよ」。


だれが「本」を殺すのか

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キンドルの衝撃

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紙の本が亡びるとき?

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制度疲労を起こし、マーケティングを怠り、ABC分析ひとつ、まともにできない「卸」業者がある。


個人経営の書店には月に二回も精算を強要する。

「ジェット返品には手を染めまい」と思っていたという。

「でも要らないものは返したよ、なぜこんな配本がなされるのか、疑問だらけでね」。


件の「卸」はさまざまな出版社に新刊初回配本をこれまでの30%〜40%にするなどと脅迫する。


精算も台風手形並み?

しかも中小出版社には正味や条件変更を飲まねば…と

株主以外の版元は不要とばかりの勢いで脅す、威張る。

その理由たるや「流通量を減らせば、返品も減るだろう」。


これでもう充分理解できます。

25年前流行した「卸・問屋不要論」。

それはいま出版界にある「現実」「危機」のひとつだと。

出版産業の変遷と書籍出版流通―日本の書籍出版産業の構造的特質

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書棚と平台―出版流通というメディア

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出版社と書店はいかにして消えていくか―近代出版流通システムの終焉

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四半世紀も前に情報化を進めた他業種に比較すると、その遅れたるや目を覆わんばかり。

販売データ分析に微分積分など何の役にも立たないといわんばかりだ。

せめてABC分析くらいは出来るようになろうよ。


書店も出版社もあなたたちの「顧客」でしょ?



ある出版社の社長、曰く「これが彼らの習い性」なんですよ、きっと。

一社、二社なんてかわいいレベルではない。

異口同音、中小出版社「数十社」で同じような話を「代表取締役社長」から聞いた。んんん〜。

マーケティングの科学―POSデータの解析 (シリーズ・予測と発見の科学)

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POS・顧客データの分析と活用

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「露骨に威張り、脅す“卸”って、優越的地位の乱用ではありませんか?」


「本人はそうは思っていないよね、だから会社の看板を楯に威張る」

「制度、会社、支配者の庇護、そういう楯が無ければ、何もできないから、威張るんだ」。

さまざまな意見噴出。

優越的地位の濫用 (日本経済法学会年報)

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「卸」が権力を持ちすぎたことの悲劇、

そして制度の上にゴロ寝という業界全体の怠慢。


それでも…



「陰湿な圧力に屈せず、頑張らねば」

「愚痴撒き散らしても、良いことなんて何もない」

「制度や紙というデバイスのうえに胡坐をかきすぎた、我々(メーカー)も猛省しなければ」


その通り!


人のことより、まず己の未熟さを恥じる…。

これが一番大事。


いろいろな意見を聞いた経営者たちも「人のせい」ではなく

ならば、どうすればいいか?

まず自らを省みる姿勢を忘れず、行動に移している。

至って前向き、「サラリーマン」とはここが違うところ。


小売やメーカーにとって、顧客はあくまでも「読者」なのだから、

もっともっと謙虚に他業種に学び、知恵を絞り、汗をかこう。


そう、「汗無限」なのだ。もっとお客様の笑顔と本を読む喜びのために、

「いま、何ができるか?」を基準に動く。



件のオーナーとの話に戻すと、

「万引き対策も深刻だったよ」

「一冊高額の写真集を盗られたら、いったい他に雑誌や文庫を売ればいいんだ」

「10冊、20冊のレベルじゃとても追いつかない。どんな良いと惚れこんだ写真集でも店に置けなかった」

デジタル万引きだって、そりゃ深刻だよ」。

万引きする人、こんにちわ

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すぐ役立つ万引問題解決法―片手で抱いて片手で殴れ

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書店のための万引防止読本

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もう万引はやめて

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万引は立派な犯罪です。

万引した本を古本屋に持っていって小遣い稼ぎ。いますぐ止めよう。


しかし最大の要因は…

「従来の書店スタイルから脱皮できなかった自分を責めている」

「変えられなかった自分をね」だという。


「日本出版業界特有の責任の醜い擦り付け合いや愚痴を撒き散らす無責任には与したくない」。

出版業界の危機と社会構造

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ブックオフと出版業界 ブックオフ・ビジネスの実像

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出版流通ビッグバン―21世紀の出版業界を読む

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どすこい 出版流通

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本を売る現場でなにが起こっているのか!?

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雑誌よ、甦れ

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そこで一晩中、「べき」論で、書店サービスとは何ぞやをまとめてみた。

  • 欲しい本がいつでもすぐ読める。品揃え無限。
  • カタログ充実、在庫情報最新。
  • 受け取りたい場所で受け取りたいデバイスで受け取るサービス。
  • プロフェッショナルによるコンシェルジュ・サービス。
  • 「ワクワク」や「ドキドキ」、ご同輩と出会える「場」の提供。


賢明な方ならこれだけ語れば、もうお気づきでしょう。

すでにamazonがやっていることがほとんどじゃないですか。

クラウドAMAZON EC2/S3のすべて (ITpro BOOKs)

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キンドルの衝撃

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出口戦略、顧客第一主義、「べき乗則」から適正在庫を解析する。

ベンダーセントラル、アソシエイトセントラル、EC2、見える化

ぶれない顧客第一主義はひとつの突破口。


そして大ヒット商品がなくても、消費財メーカーNo.1になった「花王」さんにも学ぼう。

四半世紀前、「花王」さんがすすめた社内改革、情報化投資。

花王 強さの秘密―23期連続増益を続ける「最強DNA」を読み解く

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バーンズ&ノーブルも考える生き残り戦略。

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先行する米国市場のメディア再生プラン。

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そして街の書店の存在意義と再生。

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私ならいますぐこうするという再生プランを固めた。


文字、図解、グラフ、シートにしてふと思い出す。

そういえば、英国で報道されたamazon.co.ukのロンドン、リアル書店構想はどうなったのだろう。


まっ、それはさておき、明日、オーナーに声を掛けてみようと思う。この再生プランをもって。