涙の銀、浅田真央。（採点競技の息苦しさと懊悩）

「どういう４分間でしたか？」という問いに対して、

「あぁぁ〜、長かったというか、あっという間でした」。

何と奥深いコメント、素晴らしいアスリートなのだろう。

そのあと、小さく「ごめんなさい」とつぶやき、大粒の涙が溢れた。

嗚咽を堪えながら、一所懸命質問に答えようとする19歳、浅田真央。

本当に欲したものが手に入らなかったときに得る「経験」。

これが何ものにも換えがたい「経験」なのだ。

浅田真央公式写真集 MAO

浅田真央 奇跡の軌跡 ~ミラクルのきせき~ ファースト・フォトブック

選曲（ラフマニノフ 前奏曲「鐘」）もタチアナの組んだプログラムも間違っていない。

ストレートライン・ステップ・シークエンスにはゾクゾクするほどの迫力を感じ、表現の深みに震えた。

The Dream will come to you!

The best is yet to come.

浅田真央さん、あなたの未来はきっと輝き続けることでしょう。

ラフマニノフ：「鐘」「春」ほか

浅田選手の演技に対し、かつての名選手からの評価が特に高い。

ひたすら新しい地平を切り拓き、高難度の表現へ挑戦しつづけた彼女に対し、

ミシェル・クワンも、フィリップ・キャンデロロも、最大級の賛辞を贈っている。

トリプル・アクセルにダブル・トゥループの連続がどれだけ凄いことかを語っている。

ミシェル・クワン

「浅田が初課題として試みたトリプル・アクセル―ダブル・トゥループコンビネーションジャンプを見て胸を打たれた」。

もちろんキム・ヨナさんの演技は「審判の期待に応えるジャンプや回転をこなした」と評価。

「国家」を背負った19歳の天才アスリートがあらゆる意味でパーフェクトな演技を見せた、

これは誰からも指差されるものではない、金メダルに堂々と値し、その価値に一点の曇りもない。

それでもルールや採点方法に疑念は残る。

ＧＯＥという加点方法を本格的に見直したほうが良い。

最高で一要素に最大６点も差をつけてしまうと、問題は大きい。

審判（ジャッジ）の恣意を許す余地が大きすぎる。

キャンデロロ（フランス）

「浅田真央とキム・ヨナの得点差はスキャンダルだ」。

というような海外のコメントを多く見掛けるが、

ジョアニー・ロシェットのフリーの得点の出方と安藤美姫の出方もスキャンダルだ。

長洲未来は正当に評価されて良かった。

ジャンプの基礎点テーブルも再考の余地あり。

採点競技は常にこうした難しさと懊悩を越えて、チャレンジいかなければならない。

熱くなった。

素晴らしい戦いだった。

日本フィギュアスケートキャラクターブック2010

刈屋富士男アナウンサーと八木沼純子さんの名解説は

この史上最高の戦いにふさわしい語り部コンビだった。

抑制の効いたアナウンスメント、わかりやすく正確な日本語表現、さすがです。

おふたりの「声」も美しく、メッセージがこころに良く届く。

二人にも最大級の賛辞、そして感謝の言葉を贈りたい。

女子フィギュアスケート―氷上に描く物語 (角川oneテーマ21)

日本フィギュアスケート 氷上のアーティストたち

NHKアナウンサーとともにことば力アップ―NHKラジオ (NHKシリーズ)

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