夫婦写真散歩のススメ

歩く速さで、街の新陳代謝や季節の移り変わりをゆっくり、丁寧に味わってみましょう。

備中国分寺

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三寒四温、風の温もりと冷たさも行きつ戻りつ、花暦も確実に進み、墨東にも春がやってきました。



決算期、年度末、番組改編期、新年度の準備と慌ただしく過ぎた3月も早、晦日(つごもり)。

吉備路の魅力

今回は吉備路を歩いて、味わった2013年の春の記録をお届けします。

晴れの国岡山はフルーツ(果物)王国

後の世で晴れの国と名付けられ、白桃、マスカット・オブ・アレキサンドリア、岡山ニューピオーネ、シャインマスカット、晴王、瀬戸ジャイアンツ、別名「コタツぶどう」とも呼ばれるグローコールマン&紫苑、あたご梨、いちごなどの果物がその温暖な土地で育てられ実ることになる吉備路です。

吉備路に咲く蝋梅と桃の花



時間を1,700年以上遡ってみると、古代吉備王国は畿内や出雲国と並ぶ大きな勢力を持っていたといわれています。穏やかな瀬戸内海、実り豊かな自然と温暖な気候に恵まれ、交通の要衝として古くから繁栄した地域です。

古代吉備王国の歴史

古代吉備王国は現在の岡山県全域と広島県東部と香川県島嶼部および兵庫県西部に広がっていたと考えられています。奈良時代に制定された令制国では備前国・備中国・備後国・美作国にあたります。

古墳時代の吉備路

古墳時代、吉備地方、現在の岡山平野南部は内海になっていたと推測されています。また、この地方独特の特殊器台・特殊壺は、綾杉紋や鋸歯紋で飾られ、赤く朱で塗った大きな筒形の土器で、2世紀から3世紀の中頃=弥生時代後期の後半に作られ、部族ごとの首長埋葬の祭祀に使われるようになっていたと考えられています。弥生墳丘墓=楯築弥生墳丘墓や最古級の前方後円墳である箸墓古墳・西殿塚古墳から出土しています。

4世紀からこの吉備の国、吉備内海の近くに多数の前方後円墳が造られました。巨大古墳文化が遺跡としていまにその姿を残し、6世紀には優れた製鉄技術を持っていたことが分かっています。造山古墳、作山古墳は築造当時の日本列島で現存する日本の古墳のうちでも第4位及び9位の規模をもち、吉備地方の繁栄とこの地の豪族の力を示すものです。

奈良時代の吉備路

奈良時代に日本をリードした学者・政治家の吉備真備は備中国下道郡(現在の岡山県倉敷市真備町)出身です。霊亀2年(716年)遣唐留学生となり、翌養老元年(717年)に阿倍仲麻呂・玄纊らと共に入唐します。そして天平7年(735年)に多くの典籍を携えて帰朝します。唐では経書と史書のほか、天文学・音楽・兵学などを幅広く学びました。

奈良時代、国分寺、国分尼寺の建立の詔を出した聖武天皇、光明皇后の寵愛を得て、急速に出世し、右大臣まで上り詰めます。これは地方豪族出身者として破格の出世で、学者から立身して大臣にまでなったのはこの時代では吉備真備と菅原道真だけでした。

吉備真備 天平の光と影

吉備真備 天平の光と影

吉備大臣入唐絵巻の謎

吉備大臣入唐絵巻の謎

備中国分寺

備中国分寺は、聖武天皇が天平13年(741)に仏教の力を借りて天災や飢饉(ききん)から人々そして国を守ること (鎮護国家)を目的に建てられた官寺の一つです。

備中国分寺伽藍配置略図



その当時の境内は、東西160m、南北178mと推定されていますが、江戸時代に再興された現在の備中国分寺があるため、南門・中門以外の建物の位置は明らかではありません。しかし、創建当時の礎石が多く残されており、当時を偲ぶことができます。備中国分寺は吉備路のシンボルとして、美しい田園風景のなか、高さ34.32mの五重塔がそびえています。

2016ベリースモールピース パズルの超達人 夕暮れの備中国分寺 岡山 (50x75cm)

2016ベリースモールピース パズルの超達人 夕暮れの備中国分寺 岡山 (50x75cm)

備中国分寺五重塔



奈良時代の七重塔は50mの高さだったと考えられていて、南北朝時代にそれが焼失し、伽藍周辺も荒廃します。1821年(文政4年)に位置を変えて再建を開始、弘化年間(1844年〜1847年)に完成したものだといわれています。江戸時代後期の建築様式を色濃く残していることから、そう考えられています。岡山県内唯一の五重塔で当初は三重塔で計画されたものを五重塔に変更したものだといいます。3層まではケヤキ材、4.5層まではマツ材が主体です。

備中国分寺と菜の花畑

備中国分寺境内風景








考えながら歩く吉備路〈上〉

考えながら歩く吉備路〈上〉

古代を考える 吉備

古代を考える 吉備

古代から繁栄した土地に立つと不思議と目には見えない力を感じるような気がします。

のどかで穏やかな春の陽射しのなか、空を眺める静かな時間にこころ癒されます。

今回から数回に分けて歩いて感じた吉備路の魅力をお届けしようと思います。
お時間のある時にお立ち寄りくださいませ。

追記:夏の備中国分寺