東京坂道散歩(赤坂編)
前回ご紹介した、半蔵門から赤坂見附に続き、東京の坂道を歩く夫婦写真散歩。今回は赤坂です。
赤坂といえば、高級料亭、クラブが立ち並び、明治以降華やかな花柳界が形成され、政治家、芸能人御用達、また外国人の多い街というイメージがいまだに強く残っています。とはいえ平成の世になって加速する東京の新陳代謝はさらに勢いを増し、常に工事車両と出会う印象があるこの街赤坂は、急スピードで様変わりをしてきています。
一言でいえば、高級料亭の激減、カジュアルなお店が増え、ライブハウス、居酒屋チェーン、ファストフード、若者が増えた、歩いているとそんな気がします。20年ほど前、勤務地が赤坂であったこともあり、この街をよく歩き、見続けていますが、確実に変化しています。
赤坂見附交差点周辺
さて風薫る五月、GWに赤坂見附を歩き、赤坂見附交差点に到着したわが夫婦。
「赤坂」地名の由来
その昔は文字通り坂の名前でした。現在、迎賓館があるあたりに「赤」の染料になる茜(アカネ)が自生している丘陵地があり、その丘を赤根山と呼んでいました。赤坂という名前の由来は、その赤根山と呼ばれた丘に登る道を「赤坂」と呼んだことにはじまるという説が最も有力です。ほかには芸州広島浅野家の下屋敷に赤土の坂があったとする説や染物屋が赤染絹布を坂に干したとする説などもあります。
「御府内備考」
『御府内備考』とういう書物には、「紀伊国坂を古く赤坂といい、そのためこの周辺も赤坂といわれるようになった」と記されています。元々坂の名前であった「赤坂」が紀伊国坂という名前に変わったのは紀伊徳川家の中屋敷があったからです。紀州藩といえばご存じの通り徳川八代将軍吉宗や十四代将軍家茂を輩出した家柄。古地図を眺めて、現在の地図と比較するとより理解が深まりますが、この付近に広大なお屋敷を構えていました。
切絵図・現代図で歩くもち歩き江戸東京散歩 (古地図ライブラリー (別冊))
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豊川稲荷東京別院
豊川稲荷東京別院ウェブサイト
http://www.toyokawainari-tokyo.jp/
豊川稲荷東京別院は、稲荷といっても神社ではありません。東京都港区元赤坂にある曹洞宗のお寺です。豊川稲荷・妙厳寺(愛知県豊川市)唯一の直轄別院(飛び地境内)で、大岡越前守忠相が豊川稲荷から荼枳尼天(だきにてん)を勧請し、屋敷稲荷として自邸で祀ったのを由来としています。
豊川稲荷縁起
江戸では稲荷信仰が盛んであったため、大岡邸では毎月「午の日」と22日には門を開けて、一般庶民の稲荷への参拝を許していたという。
その後、文政11年(1828年)、信徒の要望により、妙厳寺が一ツ木の大岡邸の敷地の内、4分の1(約250坪)を借り受け、豊川稲荷の江戸参詣所を建立したのが、東京別院の創建とされる。江戸参詣所が設けられたことにより、一般信徒も参拝が毎日できるようになり、今までの大岡邸の屋敷稲荷は「奥の院」とされた。
明治9年(1876年)、東京府は、私有地で祀られる社堂への、無許可での一般参拝を禁止する布達を出した。これにより東京参詣所も一般参拝ができなくなり、大岡邸の荼枳尼天の分霊は、豊川の妙厳寺本院へ還された。2年後、府から許可が下り、一般参拝が再開された。
明治20年(1887年)、大岡邸の一角では手狭になり、堂宇の新・増築も困難であることなどから、現在地(元赤坂一丁目)に移転した。大岡越前守は、江戸南町奉行としての活躍や、旗本から大名へ取り立てられたことでも知られる。それにあやかり江戸の豊川稲荷も、立身出世や盗難避け、失し物・失踪人などの効験で評判となる。川柳にも「石川は 盗み 豊川 盗ませず」と詠まれた。
また明治以降の赤坂は、料亭や芸者などが集まる花柳界が発展し、芸道を生業とする人々からの信仰も増えた。
と創建、信仰に関する記述があります。ご参考まで。
歌川国芳作「平清盛と荼枳尼天」
広辞苑によると、夜叉の類で「稲穂を荷い、白狐に跨る」胎蔵界曼荼羅外金剛部院に配される女性の鬼で、その法を習得すると自在の力を与えられるといわれています。また稲荷信仰の研究文献によると、「戦国時代には各地の武将が城鎮守稲荷として荼枳尼天を祀るようになり、武将たちの生命のかかった城に祀られる稲荷は、怨敵退散を祈願し闘戦に勝利するため荼枳尼天が大部分だったと考えられている」のだそうです。
虎屋
青山通りに出た我が家は次の目的地「とらや」さんへ。虎屋の歴史は和菓子の歴史。五月といえば、柏餅を購入。品の良いすっきりとした甘さのこしあん、最高でした。
このあと、坂道散歩は東京十社のひとつ赤坂氷川神社へと向かいますが、本日はこのあたりで。
本日のBGM
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追伸:一気に秋でしょうか、予報通り、空気は一変しましたね。本日の締めに写真数点、秋の入り口をテーマに。