夫婦写真散歩のススメ

歩く速さで、街の新陳代謝や季節の移り変わりをゆっくり、丁寧に味わってみましょう。

王子稲荷神社

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地上では蒸し暑さが残っていても大空に湧き上がる入道雲と筋状に流れる雲に

夏と秋が交差する瞬間を写し、感じ取ることが出来ます。
季節の移り変わりはまずは空から。
空を眺めているとストレスも溶けていきそうです。

今回は新緑が映える季節、休日の午後、北区王子周辺歩いた一日を振り返ります。

王子稲荷神社

江戸名所図会や広重の「名所江戸百景」などにも数多くしかも詳細に描かれ、

江戸時代には屈指の観光名所であった現在の王子周辺を歩いた記録から。

源頼義ゆかりのお社、岸稲荷=王子稲荷神社


源頼義により「関東稲荷総司」の称号を与えられ、関八州、関東一円の稲荷社総元締めの役割を果たすことになった岸稲荷が現在の王子稲荷神社です。

江戸時代、十一代将軍徳川家斉との縁

小田原北条氏についで、徳川将軍家代々の祈願所と定められてきたこともあり、現在の御社殿は十一代将軍徳川家斉公により新規寄進されたものと伝えられています。

農業の神様

江戸城の北側に位置し、農村地帯であった王子周辺。その土地柄にふさわしく農業の神様である稲成り=稲荷社として造営されました。江戸城=江戸の中心から歩いていくにはかなり離れていましたが、多くの参拝客でかなり賑わっていたと古文書や文献にその様子が書き記されています。

王子稲荷神社の歴史

北区文化財案内によると、

祭神は宇氣母智之神(うけもちのかみ)、和久産巣日神(わくむすびのかみ) 、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)です。もと岸稲荷と称し、創建は不詳ですが、治承4年(1180)源頼朝が源義家の腹巻(鎧の一種)、薙刀等を奉納したと伝え、古くから関東惣社と称したということです。社殿は、寛永11年(1634)王子神社とともに幕府の手で造営され、元禄16年(1703)にも幕府によって造営され、現在の社殿は文政5年(1822)建立によるものです。

「江戸名所図会」は、当時のこの界隈の賑わいを「実にこの地の繁花は都下にゆづらず」と伝えています。

この神社には「額面著色鬼女図」があります。

これは、天保11年(1840)、江戸の住吉明徳講(東京砂糖元売商組合の祖)が柴田是真に委嘱して描かせ、業界の守護神と崇敬するこの神社に奉納した絵馬で、渡辺綱に腕を切られた羅生門の鬼が、叔母に化けてその館を訪れ、すきをみて切られた腕を持って逃げる姿を図にしたものです。

とあります。

「額面著色鬼女図」について

王子稲荷神社拝殿



古の世では山紫水明とは正しくはこのような土地をいう、

そんな記録も残っているほどの風光明媚な場所であった王子稲荷神社。

広重の絵からも想像できるような気がします。

歌川広重作「王子稲荷の社」

山門から望む大鳥居


境内に向かう階段を上り、振り返ると

平日は階段下右手の平坦な土地に幼稚園があるため、防犯上通ることが出来ませんが、休日散歩ならこの階段から参拝しても大丈夫です。大鳥居をくぐり、ゆっくり階段を上って参拝することができます。

社殿天井画

国内の有名企業が揃って名を連ね、寄贈した天井画や

谷文晁の手による竜の絵があります。

そして、ここ王子稲荷神社を訪れたら、とにかく拝殿裏の階段を昇ることをお忘れなく。

お石様


願い事の思いが深ければ深いほど、お石さまを持ち上げるときに軽く感じるとのこと。
都内有数のパワースポットでもあるここ王子稲荷で願い事の本気度を測ってみてください。
ただし首肩腰に痛みや不調がある方は避けた方が良いかもしれません。念のため。

そしてここ王子稲荷には有名な伝説がもうひとつ。

ふたたび広重の絵を紹介しましょう。

歌川広重作名所江戸百景最終図「王子装束ゑの木 大晦日の狐火」

関八州、稲荷社の総元締めであった王子稲荷の向かいにあった装束榎のもとに大晦日の夜、関東一円の狐がすべて集まり、ここで装束を改め、王子稲荷社に参籠し、来る年の役目を言い渡されたという伝説を絵に表したものです。その時に出る狐火の数で当時の農民たちは翌年の作柄の吉凶を占ったといいます。

どうです、広重の「名所江戸百景」最終図はこんな神秘的な作品です。
ちなみに上の絵右奥に描かれている鎮守の森は現在東京十社のひとつ王子神社(当時は王子大権現社と呼ばれていました)。そちらの紹介はまた後日。

広重 名所江戸百景/秘蔵 岩崎コレクション

広重 名所江戸百景/秘蔵 岩崎コレクション

拝殿裏に上ると、実際に霊力のある狐が棲んでいたという洞穴があります。

ここが知る人ぞ知るパワースポット「お穴さま」。

お穴さま


どうでしょうか?何か感じますか。

さらに付け加えればここ「王子稲荷神社」は有名な落語「王子の狐」の舞台でもあります。

談志百席「不精床」「王子の狐」

談志百席「不精床」「王子の狐」

落語「王子の狐」

かくして落語「王子の狐」の舞台でもある王子稲荷からスタートした

今回の歌川広重「江戸名所百景」歴史散歩<北区王子編>。

都内有数のパワースポットを拝見し、手を合わせ、

目には見えない力?とご朱印もいただき、

改めて境内にある祠に再度参拝したわが夫婦。



まずは出足好調と思いきや…、

この日は絶好の散歩日和であったのですが、さすが関八州の稲荷神社、総元締め。

狐の嫁入り?

狐の嫁入りでしょうか?突然天気雨が降ってきました。

ちょっと降り方が強くなってきたので、次は名主の滝へと向かう予定が、しばし雨宿りとなりました。

ということで?今回はこの辺で、次回も北区王子周辺をお届けします。

江戸名所散歩

江戸の名物を特集した記事と江戸の名所=観光地、目黒不動と浅草寺の記事もぜひご覧ください。


本日のBGM

中村由利子「ETENITY」

中村由利子さんのピアノ曲をどうぞ。名曲です。

風の鏡

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目次:本日の記事を振り返ります