映画「男はつらいよ」に寅さんの妹役さくらで出演していた倍賞千恵子さんがかつてインタビューに答えて、「一作目の台本を読んだとき、ああ、こういう人たちに会いたかったと感じさせるような懐かしいひとがいっぱい出る映画なんだなと思ったことをいまでも覚えています」とおっしゃっていました。
人と人の関係が濃厚で、それぞれに役割と居場所があって、義理人情があくまでもどこまでも自然に、しかも濃やかに描かれ、日本の美しい風景がたくさん紹介される玉手箱のような映画「男はつらいよ」のふるさと、葛飾柴又。
寅さん得意の啖呵売
「いいかい、天に軌道がある如く、人それぞれに運命というものを持っております。この世に生を受けた男と女、みんなその眼に見えない糸で結ばれています。たとえ、どんなに愛し合っている男と女でも、この糸がつながっていない限り、決して結ばれることがない、そこに人間の悲劇がある」。
恋の喜び、寂しさ、辛さを痛いほど理解しているからこそ、そんな二枚目の台詞も似合う寅さんのふるさと葛飾柴又。
葛飾柴又の夜空を彩る花火大会の記録をお届けします。
花火大会は音、光、浴衣姿と雑踏、笑顔があふれなきゃいけません。
江戸川周辺には高層ビルは少なく、夜空は高く、広がる。対岸は市川、国府台の森。
昼間の暑さ、熱帯夜東京にいることををつかのま忘れさせてくれる江戸川の風。
色とりどりの花火が夜空に、音と人々の歓声と拍手が響きます。
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そんな寅さんの啖呵売が聞こえてくるような気がした夜でした。
浴衣姿で団扇、日本手拭片手に、下駄を履いて、夜空眺めてそぞろ歩き、
そんな週末をこころに余裕をもって楽しみたいものです。
映画「男はつらいよ」の名セリフ(車寅次郎)
「ね、いいかいおかあちゃん、足の親指と人差し指の間のね、この間に人間の体を司るツボがあります。ここに鼻緒をぐんと突っ込んで歩きながらグイグイと刺激する。日本人の偉大な発明であります。俺なんか三百六十五日、年中草履を履いているから病気一つしたことがない。ただし、頭の方はよくないが、これは親のせいだから仕方ない。……こら、笑ったな、女学生、退学」。
そんな軽快な寅さんの啖呵売を本日の締めに。それではまた。
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