文字通り唯一無二、憧れの存在が逝った事実を上手に受け止められないまま、時が過ぎていく。
悲しみと言葉にならない喪失感が治まらない。魂の一部がそぎ落とされたような気すらする。
はじめて彼のステージを観たのは1987年後楽園球場。
それ以来足を運んだライブステージは同年の横浜スタジアム、1988年東京ドーム、1992年暮れの東京ドーム2回。計5回。
全身で彼のビート、メロディーを味わった記憶の断片を思い返す。
帰り道、毎回幸せをたっぷり味わえた。心地よい興奮と余韻。
体も2割は軽くなったような気がした。余分な形容やステレオタイプな批評は要らない。
心の底から楽しめるステージだった。
クインシー・ジョーンズプロデュース、詞曲はマイケルとライオネル・リッチーとの共作「We are the world」も当時としては高価なVHDプレイヤーとVHDソフトをこの映像を見るために購入し、スティービー・ワンダー、ダイアナ・ロスをはじめとする文字通りキラ星の如く輝くトップスターの共演に酔い、擦り切れるほど繰り返し見た。
参加アーティスト(リード・ボーカル登場順)
1A:ライオネル・リッチー、スティーヴィー・ワンダー、ポール・サイモン
1A':ケニー・ロジャース、ジェームス・イングラム、ティナ・ターナー、ビリー・ジョエル
1B:マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス
2A:ディオンヌ・ワーウィック、ウイリー・ネルソン、アル・ジャロウ
2B:ブルース・スプリングスティーン、ケニー・ロギンス、スティーブ・ペリー、ダリル・ホール
C:マイケル・ジャクソン、ヒューイ・ルイス、シンディ・ローパー、キム・カーンズ
repeat1:ボブ・ディラン
repeat2:レイ・チャールズ
repeat3:スティーヴィー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーン
repeat4:ジェームス・イングラム、レイ・チャールズ
MTVで追悼番組が繰り返し放送されている。
改めて多彩かつ豊かな音楽性、神々しいまでに美しかったダンス・パフォーマンスを味わう。
ソウル、R&B、ハードロック、バラード、New Jack Swing、
まさにthe true king of pop, rock and soul.
どの楽曲もきわめて完成度が高い。
言葉にすると軽くなるようで、ためらいもある。
マイケルの音楽、ダンス・パフォーマンスへの献身がそれを支えていたことは間違いない。
そのレベルは凡人には想像できないほど純粋で、高みに達していた。
マイケル・ジャクソンの表現に関する才能、
自らに課した努力、献身、彼ほど自らに妥協を許さなかった人を知らない。
時に自らの存在すら許せなかった瞬間もあったのではないか?
なぜこんなに深く強く大きな悲しみが繰り返し押し寄せてくるのだろう。
激しくどうしようもないほどの喪失感が消えない。
地球規模のスーパースターの成功に群がった欲望と野心、嘲笑と揶揄、嫉妬と邪心、
マイケルはそれらすべてを真正面から受け止めることで激しく傷ついていたのだと思う。
史上最も成功したエンターテイナーの純粋な献身を汚し続けてきた一部の報道。
しかもそれが死後も繰り返される。
死後だからこそ、誰も確かめることの出来ない事実をより大きく歪曲させることもある。
もう傷つかなくていい。心の底から冥福を祈りたい。
彼こそ、彼の存在そのものが神様からの贈りもの(Gift)だった。
一人の偉大なアーティストの死と、感情に折り合いを付け、受け流すにはあまりに重い訃報だ。
少なくとも私にとって。
合掌